『萩尾望都SF原画展』に行く。「11人いる」「百億の昼と千億の夜」~70年代SFの時代

萩尾望都SF原画展』を見に、静岡県三島市の『佐野美術館』へ行ってきました。

私にとって萩尾望都といえばダントツで『ポーの一族』ですが、ポーはSFではないので、この原画展では対象外。よって今回のお目当ては、『11人いる』と『百億の昼と千億の夜』です。

この原画展は昨年から全国を巡回展示されていますが、今年の展示は昨年より作品数が大幅にアップしたとのこと。ストーリーの原画が何頁にも渡って展示されていたため、のめりこんで読んでしまいとても時間がかかりましたが、もう懐かしさでいっぱいです。

 

『11人いる』は1975年に発表された作品です。

結構ストーリーを忘れていて、特に続編の『東の地平、西の永久』は初めて読むくらいの記憶。しかし読み進めていくうちに、「そうそう、四世(フォース)は星どうしの争いの中で王様を殺せなくて、王様に平和を託して自ら命を絶つんだよね・・・」と、懐かしさと共にどんどん蘇ってきました。

映画『未知との遭遇』や最初の『スターウォーズ』は1977年公開なので、これらの漫画はそれより以前の作品です。様々な星の、様々な容姿の宇宙人や、”宇宙大学“という発想、星同士の戦いなど、壮大な宇宙の物語の触れたのは、私はこの作品が初めてだったかもしれません。
1977年には『NHK少年ドラマシリーズ』でドラマ化もされていますが、私はちょっとキャストに馴染めなかったです。

『百億の昼と千億の夜』は打って変わって神々の世界と終末思想の物語です。原画を見ると、改めてスケールの大きさに圧倒します。

私はこの作品の原作者、SF作家の光瀬龍さんの大ファンでしたので、先に光瀬さんの小説を読んでいましたが、当時の私には難しくて、半分も内容を理解できていなかったと思います。その後萩尾望都さんによって漫画になり、ようやくイメージができてから、小説も何度も読み返しました。

その小説の冒頭
[寄せてはかえし寄せてはかえし かえしては寄せる波の音は、何億年ものほとんど永劫にちかいむかしからこの世界をどよもしていた]という叙情詩のような美しさは、子供でも夜空を見上げて口ずさんでしまうほど、引き込まれていました。

主人公の阿修羅王、オリオナエ(プラトン)、シッタータ(釈迦)。そしてナザレのイエスやユダ、帝釈天など、どれをとっても愛しい存在です。

奈良の興福寺で阿修羅像と帝釈天像を見ると ついつい漫画(小説)を思い出し、そこで覚えた通りに “永遠のライバル”として何度も交互に見てしまいます。

展示はこの二作品で全体の三分の一くらい。『スター・レッド』や『バルバラ異界』などは読んでこなかった作品なので、あっさり鑑賞し、ごく初期の『遊び玉』や『ユニコーンの夢』などは、見た瞬間に記憶の底から蘇りました。

1977年には竹宮恵子さんの『地球(テラ)へ』の連載が開始され、少年ドラマシリーズも『未来からの挑戦』の放送でSF作品のピークを迎えていました。私のクラスでは『未来からの挑戦』ごっこが流行り、異次元、タイムトラベル、ウィスパー、宇宙などの言葉が飛び交っていました。

萩尾望都さんは今でも現役ですが、原画を70年代から順に眺めていくと、線やタッチ、構図などが、だんだん硬くなっていっているような気がしました。しかしこの方が生み出す作品の世界観は圧倒的です。昨年はついに、40年ぶりに「ポーの一族」の連載が開始され、私も大興奮で読みました。
いつまでも素敵な作品を生み続けていただきたいです。

佐野美術館での展示は2017年12月23日まで。2018年3月17日からは福岡県小倉市にある北九州市マンガミュージアムで開催されます。

この記事を書いた人

ひいらぎ

ひいらぎ

"ひいらぎ"と申します。

東京在住。

小さい頃からSF、タイムトラベル、異次元、吸血鬼、輪廻転生など、見えない世界、異質な世界にとても興味がありました。

現在は、古神道を学びながら、全国の神社をご参拝しています。